なぜ男はメイドに惹かれるのか。
めいどさんと聞いて、人が思い浮かべるイメージって何?
家事一般? 炊事洗濯おさらをがっちゃーんあられちゃーんと。まあ、そんなとこなんだろうねえ。
まあ、もともとお金持ってる人が家事全般から自らを解放する目的で雇用されたものであろうから、そのあたりの認識は、決して間違ったものでは、ない。
何? 夜のお世話? 逝ってよし。つーか氏ね。
その一方で、なぜに「どじっ娘」であることが「萌え」の要素とされるのか?
めいどさんという職業については、もっとも不適確とも見える、この要素。
歴史的にいえば、メイドという職業は18世紀から19世紀の間に急激に増加したらしい。
当時、戦争による出費を埋めるために男性使用人を雇用するのに税金がかかったらしい。
そのため、税金のかからない女性の使用人の数が増加したのだと言われている。
逆に、メイド衰退の理由であるが、一説によれば、これには二度の世界大戦が関与していると言われている。
この戦争により、戦場に赴いた成人男性はバタバタと戦死していき、残された女性たちが、男性の仕事を兼ねねばならなくなったことが、結果として女性の地位向上の原因となったという。
そして、ちょうど同じ頃、女性の身分向上のための運動が世界規模で展開され、結果として女性蔑視のイメージの強いメイドの衰退に至った、と。
要するにメイド萌えの裏には、男性の、女性に対する拭いがたい征服願望があると見て間違いなかろう。
さらに発展させて、全ての男は心の底のどこかで母性を求めている。と言えるかもしれない。
家事一般やってくれる女性って、つまり、お母さんっつーこったあね。
男性は結婚相手に母親的要素を求めており、一方女性サイドはというと、結婚相手に求めているのは「王子様」らしい。
おとぎ話のラストに出てくるような、頼り甲斐があって、お姫様を末永く幸せにしてくれるような奴。
これじゃ結婚なんぞ満足に行かないのは自明の理って奴かも、しれない。
おっと。「どじっ娘」であることの意義を忘れていた。ようは、女性に対する征服願望の裏返しであろう。
征服願望というか保護願望というか、そういうものを持っている男性としては、その相手は未熟であれば望ましい。
何でもこなすような完璧な対象であった場合、征服するには困難だし、保護なんぞ最初から必要ない、と。
もっと簡単に言えば、自分よりも有能な相手が怖いと、そういうことであるのかな。
一方では家事一般何でもこなせることが要求され、その一方で、ある程度はどじっ娘であった方がよい。
なんとも面倒な人間心理で、ある。
閑話休題。
さて、めいどさんに要求される、そういった要素からもっともかけ離れた場所に存在するのが、おそらく、酒神了という男。
たぶん実家のめいどさんも、5〜6人ぐらいは食ってるんだろうなあ。これは筆者の勝手な想像であるが。
(管理人注:"そんなに"は食ってません)
めいどさん属性はない。では、女性サイドが要求するような「王子様」であるかと言われると……
うん、金持ってるし、腕っぷしも強い。んでもって美形である。こんな彼氏をゲットできたら周囲からの羨望は間違いない。
だが、本気でそれを狙っている女性がいたとしたら。筆者は間違いなく、止める。理由は言うまでもあるまい。
某コミックで「アンチェイン」なる表現が出てきた。決して誰にも繋ぎ止めることのできない男=unchained。
酒神こそまさにアンチェインだ。法的拘束や実力行使のみではない。感情によってすら、彼を繋ぎ止めることはできない。
いや、唯一、彼を繋ぎ止めていた女性が存在したらしい。
らしいのだが……それが彼にとって幸福なことだったのか、それとも最大級の不幸であったのか。
当事者である酒神了にしか、それはわからない。
ともかく。
望む望まないに関わらず、今の彼は、めいどである。口調も行動も思考も、完全にめいどさんである。
あとは心の中にどうにか残っている自尊心さえ潰してしまえば、完全に不可逆領域だ。いい傾向である。
筆者としては、このまま二度と戻ってこれない程に突き落としてやりたいと、そんな欲求さえ浮かんでくるが……
「師範代!」