「うおおおおおおお」
ラスボスを瞬殺したといえ、いまだ酒神の怒りは収まらず。
暴れまわった結果……廃ビルはすっかり、瓦礫の山と化した。
「これで……」
アンディがつぶやく。
「終りましたね……」
「……ああ……」
夕日をバックに吠える酒神の姿にモノローグが流れようとしたその時。
「イイエ。まだ終ってませんデス」
「へ?」
声の方を見ると……待機していたはずの、アーロン&フィーのグール夫妻。そしてリィン。
「あ〜あ、派手にやっちゃったわね、これは。で、見つかったの?」
先発隊の4人、顔を見合わせる。
「見つかったって……何のことでしょうか?」
「あ、そっか、あんたたちは知らなかったんだっけ。じゃ若……」
酒神了、固まっている。
「……見つかってないみたいね、その様子だと」
「あの……どういうことなのでしょうか?」
溜息つくフィー。
「……しょうがないな、説明したげよか。」
「つーこと。つまり、坊ちゃんは、どうにもなんないって、こと」
「つまり、元に戻すためには……」
「そ。このガレキの山を、ぜ〜んぶ、ひっくり返さないと」
「あのぅ……」
アーロンに声をかける酒神。一縷の望みを、かけて。
「ほんとうに……どうにか、ならないのですかぁ……?」
「……」
黙りこくるアーロンとフィー。時として、沈黙は何よりも、雄弁に、物事を語る。
「そんなぁ〜! も〜、チョ〜きにくわな〜いっ! チョベリバってカンジぃ〜!」
酒神了が、元に戻るのに、さらに3日の時を必要としたという。