「さぁ! 選手入場です!!」
その声とともに、会場中が沸き上がる。
「何故クレイジーと呼ばれるか!? それは俺が世界最強だからだ! 倉石流柔術、倉石曳孫!!」
「天を目指すその瞳、神すら喰らう餓狼の牙を見せてくれ! 咬神流格闘術、アンディ!!」
「相撲とは遊戯ではない、歴史の通り殺し合いに置いてこそ最強なのだ! 相撲界には内緒だぜ、雷鳳!!」
「華麗なる舞と空中殺法、ムエタイの蹴りを見せてやる! 怪鳥ガルーダ、ガルーダ・リンスヴィン!!」
「攻撃こそ最大の防御、最強の護身とは最強の戦士だ! XCV(エクシヴィ)!!」
「銀髪の悪魔ここに再臨。無敗のまま去った兄の名を継げるか!? 咬神流戦闘術、酒神ツルギ!!」
「ナマズやウナギにゃ山程居るが、人間でする奴ぁコイツだけだ! 電気人間、ガイノス・ブランレイド!!」
「若干16歳 その若さで早くも命を捨てるか!?学校にバレても知らねーぞ! ボクシング、水形 京!!」
「高校生が二人も何やってんだ! 宿題したか?学校にバレんじゃねーぞ! 総合格闘術、高天大和!!」
「格闘技の源流は中国にあり。四千年の歴史は半端じゃねーぜ! 王青三!!」
「プロレスはショーではない! 本当の強さを教えてやる! 本名で登場だ、天龍隼!!」
「立ち技の世界最強は、格闘技に置いても世界最強だ! 拳神会代表、レオン・マクドウェル!!」
「隠された中国拳法、王龍寺の秘伝を見せてくれ! 出雲一人!!」
「でかいだけがアメリカじゃない。中身があるからでかいのだ! 本場のプロレス見せてやれ、ジャスティン・ヴィンシブル!!」
「経歴その他一切不明。ちょっと人ナメすぎだぁ! 試合前にメンバーに殺されるなよ、怪人ジジイ面相!!」
「そしてェッ!!」
会場中が注目する。出場者最後の一人。この闘技場の覇者をその瞳に焼き付けんと……
「打撃の王者を打撃で沈めた! 柔道トップを投げで下した!! 後必要なのはヴァーリトゥードの世界一のみ!!! チャンピオン……」
会場中が息を飲む。出場者達が殺気の隠った視線を送る。そして現れる影……
「ジーザス・クライストォォォォォォッッッッッ!!!!!!」
歓声、殺気、怒号、地鳴り。試合開始前だと言うのに、全ての者が炎よりも熱く燃えていた。
「以上、十六名によって『強者の証』争奪戦を始めます!!」
「応ッ!」
出場者の気迫が、会場中を包んだ。